アーティストのTシャツではなく、フェスの公式Tシャツを買う心理(自論)

フェスの物販でほぼ必ずと言っていいほど販売されている、フェス公式Tシャツ。もちろんTシャツだけでなくタオルやラバーバンド、その他もろもろも販売している。
背面に今日素晴らしいステージを観せてくれたアーティストの名前が連なっていてついつい買いたくなるものだ。

だが、それにしても大人気すぎやしないか
好きなアーティストがいて今日来ている人が多いだろうと思うのだが、フェス公式TシャツってアーティストのTシャツ1枚分のお金を出すほど買いたいものなのだろうか

公式グッズの魅力をわかっていなかった時期に思っていたこと

Tシャツをはじめとするこのフェスの公式グッズだが、フェスによっては種類もそこそこのバリエーションが用意されており、場合によってはアーティストの物販以上に大行列。それだけでもかなりの需要がうかがえる。

正直、公式グッズが大行列になることを個人的には不思議に思っていた。
フェスに来る動機というのは、ほとんどが「このアーティストが出るから」なのではないだろうか。
だとしたら、そのアーティストのグッズを身に付けたくなるのが自然な流れなのではないかと思うのだ。

Tシャツやタオルを持っていないから現地で買って身に付けたいという人も、その日のお目当てのアーティストのグッズ列に並ぶのが自然なのではないかと思いきや、大盛況なのは公式グッズ。
フェスに行き始めたころ、私はこれが不思議だったのだが、最近になって段々分かってきた。

フェス公式グッズを買う理由

出典:FUJI ROCK FESTIVAL ’17|フジロックフェスティバル ’17

お目当てのアーティストがたくさんある

現在、私がフェス公式グッズに手を伸ばす理由はほぼこれである。

熱狂的に愛を注いでいる1つのアーティストにのみ本気で最前部を狙い、他はほどほどに。
そういった参加のスタイルであれば必要ないことだが、仮に熱狂的に好きなアーティストが複数出て、しかも同じステージに立て続けに出演したとしよう。

体は一つしかないのでTシャツは一枚しか身に付けることができない。

悩んで一つのアーティストのTシャツを選んでも、選ばなかったほうの自分の応援しているアーティストが、前方にいる自分のTシャツを見て「次のアーティストの待機かな」と悲しい気持ちになったら嫌だな、私はあなたもこんなに好きなのに。
とか、
周りの人にも「次のアーティストの待機がいるな…」と思われてしまうのは中身が純粋なファンなだけに嫌だし悲しいな。
などと、
「誰もあんたのことなんか見てないよ!」と突っ込まれそうな要らぬ思考が巡り、どのバンドのTシャツを着て行くか選べなくなってくる。
支離滅裂に聞こえるかもしれないが、ここまで思考を巡らせた人間にとってもはや「実際見られているか否か」は関係なく、大切なのは納得できるか否かになっているのである。

そんな謎のファンスピリットが働いた結果、フェス公式Tシャツに落ち着く…ということが、好きなバンドが増えるとともに増えてきたのだ。

着替え需要

フェスに参加すると夏フェスは特に、自分のなのか他人のなのか分からない汗でドロドロになり、どうにも着替えたいなとなってしまうタイミングが大抵一度はやってくる。

お目当てが終わったタイミングが主にそれな気がするが、「帰りなんかどうなってもいいと思って着替えを持ってこなかったけど、いざ汗だくになってみるとこのまま夜行バスに乗り込むのは抵抗があるな…」となり、お目当てを観終わったときの最高の気分も手伝って「どうせだったら今日の記念に」と公式グッズに手をのばしたくなるわけである。

ワンマンで万能に使える

これは友人が言っていてすごく納得した。
アーティストのTシャツはそのアーティストのワンマンや対バンでしか基本的に着ないが、その点フェスの公式Tシャツはわりとどこのライブハウスで着ていても不自然が無い

それどころか全然別の会社が取り仕切るフェスでもお構いなしに別のフェスのTシャツを着ている人はたくさん見かける。
これがマナー的にどうなのかはよく分からないが、言及している人も見ないので、常識的にはOKなのだろうという認識でいる。

フェスで観たりして「ちょっとワンマンも行ってみたいな」という気持ちでワンマンのチケットを取ることが増えてきたのだが、いざ向かうとき、当然新参であるため手持ちにそのアーティストのグッズはない。
グッズにかける費用は節約したいなという場合や、その時に限って好みのデザインが絶望的にないということもしばしばあり、そんなときにあると着て行きやすいのがフェスの公式Tシャツとなるわけである。
「無理にグッズ着て行かなくても普通のTシャツ着て行けば?」と言われたら論破だが。

まとめ

限られたアーティストにしか興味がないぞという時は不思議な行動に感じたが、好きなアーティストが増えたり、「ちょっと気になる」でワンマンに行きたいなと思うようになってからはフェス公式Tシャツが大人気になる理由がわかるようになった。
お目当てのアーティストがいる前提で書いてきたが、そのフェスそのもののファンだってもちろんたくさんいるわけでそこにも需要はある。

理屈っぽいことを抜きにして、普通に良いデザインのものが多かったり、アーティストとフェス公式のコラボデザインがあったりと、それだけでも十分に買う動機になる。
自分が好きな音楽を生み出すアーティストが、自分が好きなデザインのグッズを生み出すとも限らないわけで、デザインの好みの違いを愛で埋めきれなかった結果、公式グッズを買っているなんて人も、いておかしくないと思う。

出典:Fear, and Loathing in Las Vegas

先日のSUMMER SONICではFear, and Loathing in Las Vegasとフェス公式の開場限定コラボTシャツが販売されており、めちゃくちゃ欲しかったがFear, and Loathing in Las Vegasの出演日である2日目からの参加であったため1日目でほぼ売り切れてしまって買えなかった…。
某フリマアプリで2~3倍の値段で出品されていて悔しい…。