フレデリック”飄々とエモーション”のリリックビデオがハイセンスすぎて震えてる

6月半ばまでの期間限定公開で、フレデリックの新曲”飄々とエモーション”のリリックビデオが発表された。
じわじわとフレデリックの深いファンに踏み込みかかっている私はラジオでも飄々とエモーションはチェックしており、そこでも「好きだわ」と思っていたのだが、このムービーがもうめちゃめちゃ素晴らしくて、見た瞬間好きが大好きになってしまった

以前にも綴ったことがあるのだが(生で聴くフレデリックは感動指数激高なのでご注意)、フレデリックのライブの感動指数は観る前の想像をはるかに超えてくる。本当に、想像の100倍以上エモーショナルなのだ。
そもそもエモーショナルなのに「エモーション」って言っちゃったら、しかもサビで言っちゃったらエモーションのダムが決壊しちゃうでしょと思った。そして決壊した。意味不明な比喩で申し訳ないが、観たファンはみんな決壊したものと私は思っている。

と、演奏している映像ですら充分に力を持っているのだが、この動画に感動を覚えたのはそればかりではない。

「リリックビデオ」をよくするのは難しい

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リリックビデオよりスクリーンショット

リリックビデオとは歌詞をメインにした映像表現であるが、この手法はかなりセンスが要求されるものだと私個人としては思っている。
もちろん、歌詞に自然と着目してもらえるとか、韻を踏んでいる部分の正しい表記を一発目から見せることができるとか、言葉のスピード感が表現できるとか、リリックビデオのいい点はたくさんある。

私がリリックビデオをよく見せるのが難しいと思っている理由は、完成度次第で映像中を踊る文字が邪魔でしかなくなってしまうからだ。

わざわざ何とは言わないが、「これはむしろマイナスなのでは…」と思ってしまったリリックビデオは何本もある。(消費者の立場でそんなこと言う資格は無いのだけど)

ビジュアルで訴えることが難しいアーティスト(本人の姿を隠してるとか)であればこの手法になるのもわかるのだが、フレデリックはむしろ、わざわざ文字を乗せなくたって、元のライブパフォーマンスの映像だけでも十分に温度や楽曲の良さを伝えることができるアーティストである。
なんならビジュアル面も相当に良く、本当に敢えてこれに大きく手を加えることは、元映像の良さを害してしまう可能性だって持っていたはずである。

さらに言えば、すでに元の映像の中に文字がある(バックのスクリーン映像のこと)、つまり文字を含むビジュアルが一度完成してしまっているところにさらに文字を乗せているところもまたハイレベルである。
「ここにさらに乗せようよ」という提案が通っていること自体すごいと思う。

アナログとデジタルのバランス

リリックビデオよりスクリーンショット

観ると一発でわかるのだが、このリリックビデオは前述したようなリスクがある中、失敗をしてしまうどころか文字を乗せることが完全にプラスに働き、最高がより最高になった作品である。
アナログ要素とデジタル要素のバランスが絶妙に整っており、これはフレデリックの音楽自体とよく似ているとも感じた。

本番限りの一発撮りと、超絶エモーショナルな演奏、歌声。そういった「有機的な要素」と、幻想的な空間演出や電子音、そして後から乗ってきた文字や幾何学模様といった「無機的な要素」
これらが共存しているのだが、そこに気持ち悪い違和感が一切ない
普段から感じていることだが、フレデリックのアートセンスは最高だと思う。
絶妙なバランスで観る者の美を感じとる神経に訴えかけている、しかもその人の無自覚のうちに。これはセンスとしか言いようがない。

リリックビデオでは敢えて明朝体を乗せている

リリックビデオよりスクリーンショット

さらに、元映像でバックのスクリーンに映っている文字、これはシンプルなゴシック体である。
それに反してリリックビデオにする際に乗せたと思しき文字たちは明朝体が多く使われている
この2つを混ぜてしまうという行為は、画面全体の統一感を乱してしまうため、避けるのが一般的かと思うのだが、ここでは敢えてその2つを同時に使っている

しかしそれが逆に良かった。
元映像に映り込む文字と後乗せの文字が共存することで、画面の中では文字の大渋滞が起こっている。
そこで敢えて相反する書体を使用する事で、元映像と後乗せの文字とのレイヤー分けが上手くいっているわけである。
そしてここでも「明朝(有機)↔ゴシック(無機)」の共存がまた生まれている、という。

私が文字が好きという若干気持ち悪い性質を持っているばかりに文字について熱く語ってしまい、ちょっと偏ったレポートになってしまった。
しかし逆に開き直ってアピールすると、フォントマニア的にもこれはたまらなく美しいリリックビデオであるということでもある。

期間限定公開なのが惜しい。多分、公式のMVが出るからなのだろうけど。
とりあえずまだ配信期間にはゆとりがあるがすでに画面録画した。
そこらへんの節操はある人間でいたいので、もちろん個人で楽しむレベルであるとだけ言っておく。

(公開期間が過ぎたら消します)