米津玄師の新譜”BOOTLEG”。”Bremen”が冷たすぎたから明るく感じてしまった

11月頭にニューアルバム”BOOTLEG”をリリースした米津玄師。
タイアップ曲やコラボレーション曲を中心に”ピースサイン”や”LOSER”などなど、タイアップしたものが必ずしも素晴らしいとは言わないが、あらゆる面で評価されまくった名曲たちが惜しげもなく詰め込まれた素晴らしい作品

私がこれを聴いた感想は「明るいな」だった。
そう思った瞬間に自分で「いや明るくはないな、なんで明るいって思ったんだ」とすぐ訂正して、そう思った理由を考えた。
結果「前作”Bremen”が相当に悲しい曲の詰め合わせだったから」というところに落ち着き、”Bremen”がいかに悲しかったか紹介したくなった。

失恋ソングに満ちていた”Bremen”

出典:Amazon

なぜ私が”BOOTLEG”に対して「明るいな」と感じたのか。曲調や歌詞が明るいかと言われたら、日本の音楽界全体で見たら「暗い」に分類されるだろう。絶対的ではなく相対的に、3rdアルバム”Bremen”と比べて「明るい」と思ったのである。

“Bremen”には有名どころだと”アンビリーバーズ”や”フローライト”などが収録されているが、その一方で実は中盤にこれでもかというくらい失恋ソングが、それも干からびそうな、死ぬほど冷めた厳しい失恋ソングが詰め込まれているのだ。

もうこれが失恋時にめちゃくちゃ効くからおすすめ(?)。
失恋した時に「悲しめるところまで悲しみたい派」と「なぐさめてもらって元気になりたい派」といるかと思うが、前者の方にぜひ処方したい
特にもうHPはゼロなのにマイナスの方まで抉って二度と立ち上がれなくしてくれた失恋時超おすすめ曲は8曲目の“Neon Sign”
そんな”Bremen”のジャケットはほっこりする色使いのハートマークなのがまた。

ちなみに、別に暗い人ではない

こうして基本的に暗いのが前提みたいな書き方をしていると、「暗い感じの人なのか」と思われてしまいそうだがそういうわけではない。
あまりTVに出てトークするような人でこそなかったのだが、ここ最近は”BOOTLEG”にも収録されている”打上花火”や”灰色と青”などをはじめ様々なアーティストと共演していることもあり、またタイアップが決まりまくっていることもあり、朝のニュース番組でインタビューに答える米津玄師を見てしまった

「好きな食べ物は?」という質問に対して「寿司とか…」と答えていて、「…普通か!」と突っ込んでしまった。
難解な歌詞や音楽を作っているからといって、じゃあ根っからの変わり者なのかと言ったらそういうわけでもなく普通に普通の一面もあるようだ。
それはそうか。私たちは米津玄師が自分たちと同じ成分でできていることをつい忘れがちである。米津玄師だって薬局でシャンプーとか買ったりする日常があるのだ。

なんならこのくらいの会話ユーモアも持っている。本人像が思い浮かべにくい作品作りをされているからこそ、Twitterをフォローしていると人間味を感じられて面白い

出典:Amazon

そんなわけで失恋したものを完膚なきまでにボコボコにしてくれる前作”Bremen”とのギャップでうっかり明るく感じてしまった”BOOTLEG”
米津玄師さんの、注目されている現状でも世間の目とかいろんなことにとらわれず思うがままにやっている感じや守備範囲の広がりを感じるし、“ピースサイン”は、やはりゆるぎなく名曲

“YANKEE”のモードからは”Bremen”も経て遠ざかっている感じはするものの、「らしさ」を失っていないことに驚く。
明らかに変わってるけど、明らかに変わってない・明らかにこれは米津玄師なのだ。
私に米津玄師の曲を米津玄師の曲と判断させているものは何なのだろうか、分かりそうで分からなくて、気持ち悪くて気持ちいい。

「米津玄師」って、本名なのに「師」が付いているからか敬称を付けにくくて迷った結果前文に渡って呼び捨てで書いてしまった。米津玄師さん。